[pHについて(pHメーター,pHスタット)]
セーレンセン(S.P.Sorensen)は,水溶液中の低濃度の水素イオン濃度を表すために, pH=-log[H+]を定義し,水素イオン指数とよんだ(1909).[H+]は水素イオンのモル濃度(mol/l)を表す. 25℃,中性では[H+]=[OH-]=10-7 mol/lなので,pH=7となる.酸性ではpH<7,アルカリ性ではpH>7となる.その後,H+の実効濃度としてモル濃度の代わりに相対活量aH+をとるように改められ,pH=-log10aH+ と定義されている.水素イオン指数pHの測定のため,水素電極と飽和KClカロメル電極で次の電池を組む.
Pt,H2(1atm)|H+(aH+)‖Cl-(飽和KCl)|Hg2Cl2(s)|Hg
この電池の起電力Eは,
pH=-log10aH+=F(E-Eref)/2.303RT =E-Eref /0.0591
となり,起電力測定によってpHが求められる.実際には水素電極は取り扱いに不便なので,ガラス電極とカロメル電極を組み合わせた Ag|AgCl(s)|HCl(0.1mol/l)|ガラス膜|試料溶液‖KCl溶液|Hg2Cl2(s)|Hgが用いられることが多い.これをガラス電極pHメーターという.
水溶液のpHを測定するための電気化学的計器.pH計,ペーハーメーターともいう.被検液に浸した作用電極としてのガラス電極と基準電極としての塩化銀電極またはカロメル電極との間の電位差を,入力抵抗の大きい,pH値を目盛った直流電圧計で測定する.pH目盛りの校正は1または2種のpH既知の緩衝溶液によって行う.電池を電源とする小型携帯用のものもある.
pHメーターの電源を入れる.pHの検出部(ガラス電極)は蒸留水で3回以上洗浄し,きれいな・紙またはキムワイプで拭っておく.注意1 電極の汚れが激しい場合(必ず先生と相談すること)は,必要に応じて0.1M塩酸,クロム酸混液,石鹸水などで短時間洗い,さらに流水で十分洗う.
注意2 電極は検出部を溶液に浸しておくこと.すなわち乾燥状態にして長時間放置しないこと.
pHメーターは使用前に標準溶液を用いて調整しなければならない.標準溶液は普通,pH4標準溶液(フタール酸塩標準溶液),pH7標準溶液(中性リン酸塩標準溶液),pH9標準溶液(ホウ酸塩標準溶液)を用いる.pHは水素イオンの解離によるので温度によって変化するので温度とpHの関係に注意を要する.標準溶液のpHと温度の関係を表で確かめてpHメーターの調整を行うこと.
pH7以下すなわち酸性側を使用する場合,標準溶液7→4→7で調整する.
pH8以上すなわちアルカリ性側を使用する場合,標準溶液7→9→7で調整する.