AGEsセンサ
超高齢化社会へと突入するこれからの日本において、医療費の増加や医療保険制度など多くの課題があります。
当研究室では、予防医療の社会ニーズに寄与すべく、AGEsセンサの開発に着手しました。
AGEsの中には、特定の励起光を照射すると蛍光を放つ性質をもっているものがあります。AGEsセンサはこの性質を利用してAGEsを測定します。
AGEs測定で生活習慣改善へ
AGEs(エージーイー)とは、還元糖とタンパク質が結合して出来た老化物質であり、加齢により増加します。また、体内におけるAGEsの蓄積は生活習慣と相関しており「生活習慣の成績表」 とも言われています。バランスの取れた食事や適度な運動などの習慣がある人は、ほとんどAGEsは形成されません。
しかし、運動不足や不摂生により代謝が低下したり、疾患を発症するなど不適切な生活習慣をしている人は反対にAGEsが増加するという特徴があります。当研究室では習慣的にAGEsを測定し生活習慣を振り返ることにより生活改善の一助となれるのではないかという考えから開発に至りました。
従来の測定器の問題点-肌の色(メラニン)による測定誤差の発生
従来のAGEs測定器では、メラニンの蓄積がある部位からのAGEs蛍光値の検出が阻害され、「測定誤差」を生じるという問題がありました。つまり、メラニン吸収が多くなる日焼けや人種(有色人種)による測定差が出ている状況でした。
経皮蛍光測定
メラニン測定
非侵襲的なAGEs測定の試み
当研究室では従来のAGEsの蛍光測定での問題点を改善すべく、メラニンによる阻害をいかに防げるか研究を重ねました。人種・日焼け・再現性それぞれの課題を一つひとつクリアできる測定法を数年かけ研究し、2017年、念願のAGEsセンサのリリースまでたどり着きました。
AGEsセンサの測定原理
AGEsセンサは指先を用いて測定します。指先は毛細血管が支配的であり、平均的で且つ逸早い体内でのバイタル変化が確認されます。 励起光を光源からレンズを通して照射することで、指先から特殊な光(径皮蛍光)を取得することができます。
この特殊な光の量は、研究機関の血液分析により、体内をくまなくめぐっている血液中のMG-H1との相関が確認されており、間接的に体の中に存在するAEGsを測定できます。指先には、径皮蛍光を測定するときに問題となるメラニンがほとんど含まれないことから、肌の色や日焼けの影響が低い測定が可能となります。
AGEsセンサの特長
光センシングで簡単に測定可能
血液採取が不要なため、心理的な負担が少なく老若男女を問わず簡単に測定いただけます。
精度・再現性に優れた指先測定
指先の内側面にはメラニン蓄積がほとんどなく、太い血管もないことから測定誤差を低減することができます。また固定もしやすいため、ほぼ同一の箇所を測定することができます。
迅速測定(※)で測定者も安心
独自の光センシング技術と回路技術により、わずか数十秒で迅速な測定が可能です。※血液採取によって測定した場合との比較