■卵白タンパク質
1.卵白タンパク質の種類と性質
現在までに見いだされているニワトリ卵白中のタンパク質を含有量の多い順に表1.1に示します.これらのタンパク質の含有量は鳥の種類が変わると大きく異なるものがあります.たとえばガチョウなどは全く異なるリゾチームを有していたり,ツルの仲間はリゾチームを持っていません.以下の各タンパク質に関する記述は特に断らない限りニワトリ卵白のものです.
卵白タンパク質組成表
Name | Amount(%) | pI | M.W. | Residues | Characteristics | N-terminal |
Ovalbumin | 54 | 4.5 | 45K | 385 | Phosphoglycoprotein | Ac-Gly |
Ovotransferrin
(Conalbumin) | 12 | 6.1 | 77K | 683 | Binds metallic ions | Ala |
Ovomucoid | 11 | 4.1 | 28K | 185 | Inhibit trypsin | Ala |
Ovomucin | 3.5 | 5.0 | 180-720K | - | Sialoprotein, viscous | - |
Lysozyme | 3.4 | 10.7 | 14.3K | 129 | Lyse bacteria | Lys |
G2Globulin | 4.0 | 5.5 | 49K | - | - | - |
G3Globulin | 4.0 | 4.8 | 49K | - | - | - |
Ovoinhibitor | 1.5 | 5.1 | 49K | 449 | Inhibit serine protease | Ile |
Ovoglycoprotein | 1.0 | 3.9 | 24.4K | - | Sialoprotein | - |
Ovoflavoprotein | 0.8 | 4.0 | 32K | 219 | Binds ribofravin | Pyro-Glu |
Ovomacroglobulin
(Ovostatin) | 0.5 | 4.5 | 650K | 1437 | Strongly antigenic | Lys |
Avidin | 0.05 | 10.0 | 68.3K | 128x4 | Binds biotin | Ala |
Cystatin | 0.05 | 5.1 | 12.7K | 116 | Inhibit thiolprotease | Ser(Gly) |
V-B1-binding protein | - | - | 38K | - | Binds vitamin B1 | - |
V-B12-binding protein | - | - | 68K | - | Binds vitamin B12 | - |
卵白タンパク質の電気泳動
卵白タンパク質をSDS電気泳動で分析すると主なタンパク質がバンドとなって観察できます.この方法で種々の生物の卵白タンパク質を調べると生物固有の卵白タンパク質組成を持っていることがわかります.
写真:
鳥類と爬虫類卵白の電気泳動像比較
各論
1)オバルブミン,卵白アルブミン (Ovalbumin)
オバルブミンは総残基数385,分子量4万5千の糖タンパク質で,分子内にリン酸化されたSer残基 (Ser68, Ser344) を有する.電気泳動的にはこれらのリン酸基が2個のもの(A1),フォスファターゼによって切断された1個のもの(A2),0個のもの(A3)が見いだされる.その存在比はA1:A2:A3=12:7:1である.糖鎖はAsn292にアスパラギン結合糖鎖が1カ所存在するが,その構造は3種類見いだされており,鳥の個体によって存在比が異なる.また,311番目にアスパラギン結合糖鎖のコンセンサス配列を有する.分子内には4個のSH基と1カ所のSS結合が (Cys74 - Cys121) 存在する.この1カ所のSS結合は切断しても分子構造には影響を与えない.
オバルブミンのN末端はアセチル基でブロックされており,そのN末端配列は
Ac-Gly-Ser-Ile-Gly-Ala-Ala-Ser-Met-Glu-Phe-Cys-Phe-Asp-Val-Phe-
である.ウズラ卵白でその全アミノ酸配列が報告されている (P19104) .オバルブミンは配列相同性からアンチスロンビンVスーパーファミリー(Serpin ファミリー)に分類され,分子内に a1 protease inhibitor, antithrombin III, angiotensinogen に相同な部位を有する.
(PIR: A90455; A93197; A93827; A90093; A90092; A42793; A61297; I50402; A01245) オバルブミンはX線解析により立体構造が知られており,α−βマルチドメインタイプに属し,立体構造上 Serpin スーパーファミリーに属する (PDB: 1ova).類似の立体構造を有するものとして以下のタンパク質がある.プロテアーゼインヒビターとしてのリアクティブサイトはC末端部分に存在し,オバルブミンではThr352−Glu353がそれに相当する.
1.Elastase inhibitor
1.horse (Equus caballus)
2.Ovalbumin
1.hen (Gallus domesticus)
3.Antichymotrypsin, alpha-1
1.human (Homo sapiens)
4.Antitrypsin, alpha-1
1.human (Homo sapiens)
5.Antithrombin
1.bovine (Bos Taurus)
2.human (Homo sapiens)
2)オボトランスフェリン (Ovotransferrin, Conalbumin)
オボトランスフェリンは総残基数683,分子量7万7千の糖タンパク質で,1個のアスパラギン結合糖鎖 (Asn473) を有する.オボトランスフェリンはトランスフェリンスーパーファミリーに属し,体液中(肝臓で生合成)のトランスフェリンと糖鎖構造のみが異なる.オボトランスフェリンはトランスフェリンと同様に鉄結合部位を有するが,卵白中には鉄は存在しない.分子内には15個のSS結合が予測されており,それらの位置から分子内相同性を有する2つのドメイン(TF1,TF2)から構成されると考えられている.
そのN末端アミノ酸は以下のとおりであるが,
Ala-Pro-Pro-Lys-Ser-Val-Ile-Arg-Trp-Cys-Thr-Ile-Ser-Ser-Pro-
電気泳動的に,また,遺伝子解析から強いポリモルフィズムが存在することが知られている.(PIR: A26845; A91115; A92229; A91116; A40674; B61573; A90282; A03262)
オボトランスフェリンはX線結晶解析により立体構造が知られており,α/β構造に属する (PDB: 1ovt).立体構造的には Periplasmic binding protein-like II スーパーファミリーに属し,類似の構造を有するタンパク質として以下のものがある.
1.Phosphate binding protein-like
2.Transferrin
further duplication: composed of two two-domain lobes
1).Lactoferrin
1.human (Homo sapiens)
2).Ovotransferrin
1.Duck (Anas platyrhynchos)
2.Chicken (Gallus gallus)
3).Transferrin
N-terminal lobe
1.rabbit (Oryctolagus cuniculus)
2.human (Homo sapiens)
3)オボムコイド (Ovomucoid)
オボムコイドは総残基数186,分子量約2万8千の耐熱性糖タンパク質で,カザールタイプのインヒビター(セリンプロテアーゼインヒビター)としての機能を有する.分子内に3つの相同なドメイン(KPI1,KPI2,KPI3)を有し,遺伝子重複産物と考えられている.分子内に9個のSS結合を有し,それぞれのドメインは構造的に独立しており,それぞれ異なったプロテアーゼに対して阻害活性を有する.たとえば,シチメンチョウオボムコイドは1つのドメインがトリプシン,他方はキモトリプシン,ズブチリシンおよびエラスターゼを阻害する.
N末端アミノ酸配列は
Ala-Glu-Val-Asp-Cys-Ser-Arg-Phe-Pro-Asn-Ala-Thr-Asp-Lys-Glu-
であり,Asn158とAsn175に糖鎖が結合している (PIR: A92754; A90514; B90514; A92242; A94438; I50401; A01239; A26475; A30218).リアクティブサイトは,Lys24がリジルエンドペプチダーゼCに対して,Arg89がトリプシンに対して,Ala148がキモトリプシンに対しての阻害部位となっている.
各ドメインはKPI1が3−62,KPI2が68−127,KPI3が136−186であるが,3番目のドメインは単独でもインヒビター活性を有することから詳細に研究され,100種以上の鳥についてその構造が報告されている.また,これらの構造は分子進化学的解析に利用されている.
オボムコイドはその第3ドメインについてX線結晶解析により立体構造が明らかにされており, Ovomucoid / PCI-1 like inhibitors スーパーファミリーに属する.構造上はSS結合に富む低分子α+β構造に分類され,類似の構造を有するものとして以下のタンパク質がある.
1.Ovomucoid III domain
1.turkey (Meleagris gallopavo)
2.japanese quail (Coturnix coturnix japonica)
3.silver pheasant (Lophura nycthemera)
2.Secretory trypsin inhibitor
1.human (Homo sapiens)
2.porcine (Sus scrofa)
3.Seminal plasma inhibitor IIa
1.bovine (Bos taurus)
4.PEC-60 peptide
1.pig (Sus scrofa)
5.leech derived tryptase inhibitor (LDTI-C)
1.leech (Hirudo medicinalis)
4)オボムチン (Ovomucin)
オボムチンは卵黄周囲の濃厚卵白の粘度の要素となっている糖タンパク質で,濃厚卵白では希薄卵白の4倍の含量がある.オボムチンは卵白を2ー3倍量の水で希釈したり,pH4で処理すると沈殿する.この沈殿は少量の塩を加えたり,アルカリ条件にすると再溶解する.オボムチンにはαオボムチン
(180K-210K) とβオボムチン (400K-720K) があり,その量比は前者が約70%,後者が約30%である.βオボムチンのサブユニットは分子量100Kと推定され,そのタンパク質部分は約30Kである.αオボムチンの糖含量はβオボムチンより低く約15%である.糖鎖はセリン/スレオニン結合糖鎖とアスパラギン結合糖鎖の両方が存在する.
オボムチンはリゾチームと分離することが難しいため,リゾチームと結合して濃厚卵白中に存在すると考えられている.これに関する明白な証拠はないが,卵の長期保存におけるリゾチーム活性の低下は不溶性のオボムチン/リゾチーム複合体によるものと推定されている.一方,オボムチン/リゾチーム複合体はゲル形成の要因であり,保存におけるゲルの消失はこの複合体の解離によるものであるという報告もある.この濃厚卵白のゲル形成機構については不明であるが,酵素分解説,上記のリゾチーム複合体説,SS結合の切断説,α体とβ体の相互作用説などが報告されている.
オボムチンの一次構造は2001年に渡辺乾二教授のグループによってαサブユニットの配列が決定されている.立体構造は不明である.
5)
リゾチーム (Lysozyme)
リゾチームは総残基数129,分子量1万4千の単純蛋白で,pH9.5で5%NaClの条件で約85%が結晶として得られることから,その構造および機能ともに詳しく調べられている.最初はG1グロブリンとして分離され,グラム陽性菌に対して溶菌活性を有することからこの名称が付けられた.リゾチームは鳥の種類によってその含有量が異なるが,これは鳥の生活環境におけるバクテリア感染の状態と関連があると思われている.ニワトリ以外の鳥卵白中にはニワトリ型 (c-type) の他に,グース型 (g-type) が存在するものがある.その構造は立体構造的に若干関連があるものの,一次構造は全く異なる.また,ハト卵白中には,カルシウム結合性リゾチームが存在する.これは一次構造的には C-type と類似しているが,分子中にアスパラギン酸に富む部分があり,ここにカルシウムが結合する.分子系統樹を作成するとこのカルシウム結合性リゾチームだけが種に関係なく1つのグループを形成する.
リゾチームは単体では熱に非常に安定で,pH7では63Cで10分の加熱でも失活しない.しかし,pH9で65Cで加熱すると30%が失活する.卵白中ではより不安定で,卵白を63Cで10分加熱すると活性は50分の1となる.
リゾチームのアミノ酸配列は1964年に決定されそのN末端配列は以下のとおりである.
Lys-Val-Phe-Gly-Arg-Cys-Glu-Leu-Ala-Ala-Ala-Met-Lys-Arg-His-
溶菌活性に関与するN−アセチルムラミドグライカノヒドロラーゼ活性の触媒残基はGlu35とAsp52である.分子内には4個のSS結合が存在し,遊離のSH基はない.
リゾチームは6個の基質結合部位(A−F)を有し,この糖結合部位に結合した糖鎖はD−E間で上記触媒残基により切断され,糖加水分解を行う.一方,リゾチームは高能率の糖転移反応を有しており,糖加水分解反応で切断されたE−F部位の糖鎖が遊離した後,別の糖鎖が結合すると糖転移反応を触媒する.この糖転移反応機構に関しては未だ完全には解明されていない.
リゾチームの立体構造はX線解析により明らかにされ,基質との結合状態,アミノ酸置換を有するミュータントまで含めて詳細に研究されている (PDB: 1lyz).構造的にはα+β型に分類され,リゾチーム型スーパーファミリーに属する.同様の構造を有するタンパク質は以下のとおりである.
1.Barley endochitinase
2.C-type lysozyme
1).Lysozyme
1.chicken (Gallus gallus)
2.turkey (Meleagris gallopavo)
3.guinea fowl (Numida meleagris)
4.pheasant (Phasianus colchicus)
5.Bobwhite quail (Colinus virginianus)
6.japanese quail (Coturnix coturnix japonica)
7.Pigeon egg-white
8.human (Homo sapiens)
9.Horse (Equus caballus) milk
10.rainbow trout (Oncorhynchus mykiss)
11.Tortoise
2).alpha-Lactalbumin
1.baboon (Papio cynocephalus)
2.human (Homo sapiens)
3.Phage T4 lysozyme
4.G-type lysozyme
5.Bacterial muramidase, catalytic domain
the large N-terminal domain is all-alpha superhelix
6)オボグロブリン (G2 globulin, G3 globulin)
オボグロブリンは最初G1,G2,およびG3が分離されたが,G1はリゾチームであることがわかった.G2とG3はいずれも糖蛋白質で,そのアミノ酸組成,糖組成に大きな違いは無く,分子量は約4万9千である.これらは電気泳動的にマイクロヘテロジェナイティーを示すが,これは糖組成の差と考えられている. オボグロブリンは卵白の泡立ちの要因であり,生理的には卵殻や卵膜の傷の保護作用をしていると考えられている.
オボグロブリンの一次構造,立体構造は不明である.
7)オボインヒビター (Ovoinhibitor)
オボインヒビターはオボムコイドとは異なる分子量のインヒビターで,総残基数449,分子量4万9千の糖タンパク質で,カザールタイプインヒビタースーパーファミリーに属する.オボムインヒビターは7つのカザールインヒビターサイトを有し,6つはaタイプ,1つはbタイプである.トリプシン,キモトリプシン,エラスターゼ,アルカリプロテアーゼ,ズブチリシンなどのセリンプロテアーゼを阻害する.オボインヒビターは血清中のα2−プロテアーゼインヒビターと同じN末端配列を有することから,オボトランスフェリンと同様に両者の差は糖組成の差ではないかと考えられている.
オボインヒビターのアミノ酸配列はmRNAから決定され,そのN末端配列は以下のとおりである (PIR: A26730).
Ile-Glu-Val-Asn-Cys-Ser-Leu-Tyr-Ala-Ser-Gly-Ile-Gly-Lys-Asp-
立体構造は知られていない.
8)オボフラボプロテイン (Ovoflavoprotein)
オボフラボプロテインは総残基数219,分子量3万2千の糖タンパク質で卵白中のすべてのリボフラビンと1:1で結合している.卵白の黄色はこの複合体による色である.その結合は比較的弱く,したがって,本タンパク質はリボフラビンのスカベンジャーではなくキャリアータンパク質として働いていると考えられる.オボフラボプロテインは卵管中で生合成されるが,同様の構造をもつ卵黄中や血清中のフラボプロテインは肝臓で生合成される.両者は糖組成が異なり,オボフラボプロテインはオボムコイドタイプの糖鎖を有する.
オボフラボプロテインのN末端配列は以下のとおりで,N末端アミノ酸はピログルタミン酸である (PIR: A29228; A91978; A91993; B91993; C91993; A48871; B48871;A61292; A03214).
PyrGlu-Gln-Tyr-Gly-Cys-Leu-Glu-Gly-Asp-Thr-His-Lys-Ala-Lys-Pro-
分子内には2カ所のアスパラギン結合糖鎖 (Asn35, Asn147) が存在する.SS結合は9カ所に存在する (5-32, 34-77, 24-73, 57-138, 64-110, 99-169, 103-152, 116-134, 167-202).また,C末端部分のセリンにはリン酸が結合している (Ser185, Ser187, Ser188, Ser191, Ser192, Ser193, Ser195, Ser196, Ser197).
立体構造は知られていない.
9)オボマクログロブリン (Ovomacroglobulin, Ovostatin)
オボマクログロブリンは卵白中最も高分子の糖タンパク質で,総残基数1437,pH6から9で65万,pH6以下では36万のサブユニットに解離する.このサブユニットは分子間SS結合で結ばれた2つのポリペプチド鎖から構成されている.オボマクログロブリンはプロテアーゼ阻害活性を有するが,その阻害機構はオボムコイドのような低分子インヒビターとは全く異なり,プロテアーゼをオボマクログロブリン分子が包み込むことにより,すべてのプロテアーゼを阻害する.すなわち,オボマクログロブリン分子にはプロテアーゼを包み込む部位が存在し,そこには種々のプロテアーゼの基質となりうるリアクティブサイトが存在する.プロテアーゼがリアクティブサイトに結合して切断するとオボマクログロブリンは分子を変化させ,プロテアーゼを包み込む.オボマクログロブリンに包み込まれたプロテアーゼは分解されるのではなく,そのまま活性を維持し,低分子の基質(マクログロブリン分子中に進入できるような)に対しては活性を発現する.
オボマクログロブリンの一次構造はmRNAから決定され,N末端配列は以下のとおりである (PIR: I50671; I50672; S29836; A20872; A33715).
Lys-Glu-Pro-Glu-Pro-Gln-Tyr-Val-Leu-Met-Val-Pro-Ala-Val-Leu-
分子中には13カ所の糖結合予測部位がある.
本タンパクは構造的にαマクログロブリンスーパーファミリーに属するが,血清中のαマクログロブリンとは一次構造が異なり,チオエステル結合を持たない.立体構造は不明である.
10)アビジン (Avidin)
アビジンは総残基数128のサブユニットが4量体で存在し,分子量6万8千の糖タンパク質である.アビジンは1サブユニット当たり1分子のビオチン (Vitamin B5) と結合し,その結合力は非常に強い.したがって,卵白中では微生物が必要なビオチンはすべてアビジンに結合するため,微生物の成育が阻害されると考えられている.胚の発生に必要なビオチンは他のキャリアータンパク質によって卵黄に供給されている.
アビジンは非常に耐熱性であり,その安定性はビオチンを結合することによりさらに増強される.また,変成剤,プロテアーゼに対しても抵抗性である.しかし,分子中に多くのトリプトファンを含むため,酸化,特に強い光に対しては不安定である.
アビジンのN末端アミノ酸配列は以下のとおりである (A54975; A27518; A92093; A92092; A03160).
Ala-Arg-Lys-Cys-Ser-Leu-Thr-Gly-Lys-Trp-Thr-Asn-Asp-Leu-Gly-
糖鎖はAsn17に結合している.
アビジンの立体構造は All βタイプに分類され,アビジン/ストレプトアビジンスーパーファミリーに属する (PDB: 1avd).類似の立体構造を有するものに微生物由来のストレプトアビジンがある.
1.Streptavidin
1.Streptomyces avidinii
2.Avidin
1.hen (Gallus gallus)
11)シスタチン (Cystatin)
シスタチンは最初フィシン/パパインインヒビターとして分離され,総残基数115,分子量1万3千の単純タンパク質である.外来微生物由来のシステインプロテアーゼ(パパイン,フィシン,カテプシンB,H,L)に対する防御機構と考えられている.また,シスタチンは血清中にも同じ分子が存在する.
シスタチンは全長のものと,N末端配列が一部遊離したものの2つの分子が知られており,そのアミノ酸配列は以下のとおりである (SWISS-PROT: P01038) .
Ser-Glu-Asp-Arg-Ser-Arg-Leu-Leu-Gly-Ala-Pro-Val-Pro-Val-Asp-
N末端部分の切断は8番目のロイシンと9番目のグリシン間で起こる.したがって,短い分子種のN末端はGlyである.また,80番目のセリンは一部リン酸化されている.
シスタチンはX線解析により立体構造が知られており,構造的にはα+β構造に分類され,シスタチン/モネリンスーパーファミリーに属する (PDB: 1cew).類似の立体構造を有するタンパク質は以下のとおりである.
1.Monellin
2.Cystatins
1).Cystatin
1.chicken (Gallus gallus)
2).Cystatin A (stefin A)
1.human (Homo sapiens)
3).Cystatin B (stefin B)
1.human (Homo sapiens)