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食品機能科学研究室 講師 安田 伸
【学歴・職歴】
2008年 - 至現在 東海大学農学部バイオサイエンス学科 講師
2007年 - 2008年 オハイオ州立トレド大学薬学部 博士研究員
2004年 - 2007年 テキサス州立大学ヘルスセンター研究所 博士研究員
2001年 - 2004年 九州大学大学院生物資源環境科学科 博士(農学)
1999年 - 2001年 岡山大学大学院自然科学研究科 修士(農学)
1995年 - 1999年 岡山大学農学部総合農業科学科 学士(農学)
【Education/Work Position】
2008 - Present Lecturer in Food Chemistry
Department of Bioscience, School of Agriculture,
Tokai University, Aso, Kumamoto, Japan
2007 - 2008 Research Fellow / Visiting Scholar
Department of Pharmacology, College of Pharmacy,
University of Toledo, Toledo, Ohio
2004 - 2007 Postdoctoral Research Fellow, Biomedical Research
The University of Texas Health Center, Tyler, Texas
2001 - 2004 Ph.D. (Dr. of Agriculture)
Department of Bioscience and Biotechnology
Kyushu University with Graduate Program, Fukuoka, Japan
1999 - 2001 M.S.
Department of Biofunctional Chemistry
Okayama University with Graduate Program, Okayama, Japan
1995 - 1999 B.S.
Department of Biological Resources and Chemistry
Okayama University, Okayama, Japan
【研究歴】
2008年 - 至現在:東海大学農学部に赴任し、食品機能科学研究室を主宰している。九州近隣の特産品である発酵乳製品や有用果実、ハーブ等がもつ機能性の評価について研究を開始し、現在までに研究室メンバーとともにこれら食品素材の抽出物や部分精製した成分が抗酸化/抗ニトロ化機能を発現すること、ガン細胞致死効果や免疫応答細胞のサイトカイン産生調節効果を有することなどを明らかにしつつある。
2004-2008年:博士研究員として米国研究留学し、生化学的および生理学的視点より細胞質可溶性硫酸転移酵素(cytosolic SULTs)について研究を開始した。生理活性成分の活性調節を担う硫酸化代謝機構について、酵素化学の視点より幅広く研究を行った。[35S]放射性同位体で標識したHepG2ヒト肝腫瘍細胞へタバコ煙抽出物を添加処理すると、恒常的に放出する硫酸体代謝物量が減少し、新たな硫酸体代謝物が複数出現することを見出した。タバコ煙中のいくつかの既知化合物においては、硫酸化されるものとエストロゲン代謝阻害を示すものの存在を明らかにした。o位にジフェノール構造を有するカテコールエストロゲンやドーパミンが基質となる際には、SULT(s)による硫酸化だけでなくカテコール-O-メチルトランスフェラーゼによるメチル化とが細胞内で協調してはたらき、二重に代謝抱合化を行う機構が備わっていることを明らかにした。
一方で、酸化およびニトロ化ストレスのバイオマーカーとして知られるアミノ酸ニトロチロシンはDNA損傷およびアポトーシスを誘導することが報告されているが、ヒト肝臓由来HepG2培養細胞を用いてニトロチロシンが細胞内で硫酸抱合化されること、そしてヒトSULT1A3のみが触媒作用を示すことを世界に先駆けて明らかにした。SULT1A3はモノアミン系の神経伝達物質の活性調節に寄与するが、ヒト神経芽腫SK-N-MC細胞においては、神経疾患誘発性の酸化型ヒドロキシドーパミンおよびヒドロキシセロトニンもまた硫酸化されうること、主にSULT1A3が触媒作用を示すことを明らかにした。
2001-2004年:博士論文の主題目として植物フラボノイドの生体調節機能に関する研究を行った。大豆粉末、イチョウ葉抽出物、竹抽出物中に含まれる植物フラボノイドをSprague-Dawleyラットに摂食させ、脂質代謝および免疫機能についての評価を行なった。また、大豆フラボノイドの一種であるイソフラボンは、エストロゲン様作用、更年期障害緩和作用、ラジカル捕捉作用、そして抗腫瘍作用など多くの生理機能を有することが数多く報告されているが、その生体内レベルを評価することは重要である。そこで、クーロアレイ型電気化学検出器および逆相カラムを備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてイソフラボンおよびその代謝物の一斉同時検出系の構築を行った。さらに、グルクロニダーゼやサルファターゼなどの基質特異的加水分解酵素を併用することにより、これら化合物の抱合体量を検出することを可能とした。つぎに、イソフラボンをラットへ経口投与したところ、血清、薬物代謝、免疫および生殖に関わる組織中にこれら化合物が遊離体だけでなくグルクロン酸および硫酸などの抱合体としても組織特異的な体内分布および体内動態を示すことを、本HPLC法を用いて明らかにした。
1998-2001年:修士論文の主題目としてヒト皮膚由来角化HaCaT細胞の紫外線(UV)誘導アポトーシスとその制御物質について研究を行ってきた。UV照射により生じる慢性あるいは急性皮膚傷害である日焼けは、皮膚表皮角化細胞のアポトーシスとしても知られ、皮膚の老化を促進させ、結果的にしわやたるみといった皮膚の形態変化を誘発する。そこで我々は、有害なUVによる細胞傷害を表皮細胞が回避することができれば皮膚老化のリスクを軽減できると考え、ヒト表皮由来HaCaT細胞を用いたUV誘導の細胞傷害モデルを構築し、アスコルビン酸を含む代表的抗酸化剤がそのアポトーシスを介した細胞死に対して調節効果を有することを明らかにした。