当研究室では、乳酸菌や発酵食品の機能性を研究しています。分野に囚われない自由な発想のもと基礎から応用まで幅広い研究を展開しています。
  研究成果は社会に還元致します。商品化のご相談などがあればお気軽にご連絡ください。例えば、阿蘇の名物である高菜漬けから乳酸菌を分離し、機能性乳酸菌を選抜し、商品に利用することにより、付加価値を付けることが可能です。また、乳酸菌の応用範囲は幅広く、機能性家畜飼料として畜産や、乳酸菌製剤として医療にも応用できると考えられます。

腸管付着因子の探索

乳酸菌には様々な機能性が知られていますが、その機能を十分に発揮させるためには腸管に留まる能力が重要です。そこで私達は、乳酸菌の菌体表層タンパク質に着目し、腸管付着因子の網羅的な探索を行っています。これまでに付着因子としてグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)などのムーンライティングプロテインを発見し、研究を進めています。

 

ムーンライティングプロテインの網羅解析

従来は細胞内のみに存在すると考えられてきたタンパク質が菌体表層にも多量に発現しており、付着因子などの機能性を持つことが明らかとなってきました。そのような多機能性タンパク質は、ムーンライティングプロテインと呼ばれ現在注目されています。しかしながらその全容はまだ掴めていません。そこで乳酸菌の菌体表層に発現しているムーンライティングプロテインの網羅解析を行っています。

 

ムーンライティングプロテインの多機能性解析

ムーンライティング(moonlighting)とは「副業」を意味します。菌体内タンパク質は菌体表層ではどのような副業を営んでいるかを様々な角度から解析しています。ムーンライティングプロテインの機能性解析により、将来的には目的に応じた乳酸菌を選抜するための機能性マーカーとして利用できるのではないかと考えています。「コラム」もご参照下さい。

 


内部被曝低減ヨーグルトの開発

福島第一原子力発電所の 爆発事故により大量の放射性核種が放出され、広範囲にわたり農地や海洋が汚染されました。今後、長期間に渡る被曝により、がん、白血病、心疾患、脳梗塞などの健康リスクが懸念されます。そこで、「放射性核種の吸着」、「抗酸化」、「免疫賦活化」の3つのプロテクト機能を有した豆乳ヨーグルトを開発しました。これにより内部被曝による健康リスクを軽減できる可能性があります。もちろん、内部被曝に関わらず健康に寄与できると考えられます。本種菌を無料で差し上げています。お気軽にご連絡ください。
 
       
 

1.放射性核種の吸着による被曝量の低減

セシウムやストロンチウムなどの放射性物質は、体内に取り込まれ、様々な健康被害を引き起こします。そこで、放射性物質を効率的に体外へ排出することを目的に、セシウムやストロンチウムに高い吸着性を示す乳酸菌および豆乳ヨーグルトを選抜し、吸着特性を検討しています。
 

 

3.抗酸化作用による疾病予防

放射線は生体内の水分子に作用し、活性酸素種(ROS)を発生させます。ROSは、体内でDNAや細胞膜などを破壊し、それにより様々な疾病を引き起こします。そこで、活性酸素による細胞損傷を防ぐために、抗酸化性を有する乳酸菌および豆乳ヨーグルトを選抜し、酸化ストレスからの保護効果などを検討しています。
 

2.免疫賦活化作用による抗がん効果

がんなどのあらゆる病気から身体を守るためには、免疫力を向上させることが重要です。そこで、がんの進行を抑え、免疫力を向上させることを目的に、がん細胞を直接攻撃するナチュラルキラー細胞を活性化する乳酸菌を選抜し、免疫応答について研究しています。

 


乳酸菌を用いた重金属の吸着

重金属は人体に蓄積し、様々な健康被害をもたらすことが知られています。私達はこれまでに乳酸菌の重金属吸着能を検討し、「デトックス効果」の期待できる乳酸菌を見出し、その吸着メカニズムの解明を行っています。

重金属からの酸化ストレス保護効果の検討

重金属は細胞の酸化ストレスを増加させることが知られています。そこで本研究では、重金属吸着特性に優れた乳酸菌を用いて、重金属の酸化ストレスを軽減できるかを検討しています。

その他有害物質のデトックス

重金属以外の有害物質(ヒスタミン、農薬、アクリルアミドなど)についても乳酸菌の吸着能を検討しています。有害物質を効率的に体外に排出する究極の「デトックス乳酸菌」を探索しています。


多剤耐性菌の分布調査

複数の抗菌薬に耐性を示す多剤耐性菌は、まれに院内感染を引き起こすため、非常に問題となっている細菌です。そこで食品や堆肥、糞便などにどの程度多剤耐性菌が存在しているかを調査することで多剤耐性菌の潜在的な感染リスクを検証しています。

新奇バクテリオシンの探索

乳酸菌は、食品保存料としても利用されている抗菌ペプチド(バクテリオシン)を産生します。多剤耐性菌をターゲットとした新奇バクテリオシンの探索を行っています。

乳酸菌による多剤耐性菌の殺菌効果の検討

乳酸菌やバクテリオシンで多剤耐性菌が殺菌可能かを検討することで、堆肥や家畜における多剤耐性菌の発生抑制を目指した「機能性家畜飼料」の開発を行っています。


チーズの機能性評価

チーズは古くから食されている発酵食品ですが、その機能性は未だ十分解明されていません。チーズ中には乳酸菌やカビなどの機能性を有する微生物のほか、発酵・熟成中に産生される機能性物質が存在します。そこで当研究室では、様々な種類のチーズの機能性を多角的に解明しています。

自家製チーズを用いた研究

本学農学部には食品加工場があり、そこで作った自家製チーズを用いて研究を行っています。抗酸化ペプチドや有機酸などの機能性物質の探索のほか、共培養系を用いたプロテアーゼの研究などチーズの隠された機能を明らかにしています。

機能性チーズの開発

研究成果を活かし機能性成分を強化したチーズの開発を行っています。本学農学部の強みは、加工場を利用して自家製チーズの試作が可能なところです。機能性のみならず美味しさも重要な課題の1つです。美味しく、健康に寄与できる新しいチーズの開発に取り組んでいます。