2021年
動物衛生学、世界の畜産、動物生理学特論
動物体や人体は、つきつめれば一本のチューブのようなもので、食べ物はチューブの一方から入ってもう一方の端から出ていく。私たちは皮膚を外側の面だと考えているが、チューブの内壁もまた外界に接した外側の面だ。そしてそのチューブには微生物が共生し、その数は100兆個にもおよぶ。実際、腸は肝臓と同じ重量に相当する1.5キロの細菌を抱えている。本講義は、そのチューブ内のマイクロバイオームを意識しつつ、栄養素の消化・吸収・代謝や利用、免疫機構、神経などを概観しながらヒトや動物、さらに土壌の健康とその維持を生態系及び共生という立場から追求する。後半は1.65億年前に出現した哺乳類の生殖を生物進化から言及し、自然分娩や帝王切開などの新生児の成長への影響、さらに新生児へのアレルギー反応、ひいては成長後の腸内細菌叢や微生物環境と生活習慣病などへの影響を新しい切り口と最新の論文・データを中心に展開する。
家畜生産は、世界各地の様々な環境、風土そして文化に合わせて行われている。自給自足の時代、農耕民や牧畜民は小さな群れで家畜を飼っていた。そして近年まで、人と家畜は生活圏を共有していた。動物と人間の関係が根底から変わり始めたのは、人口が密集し、急速に拡大する都市においてであった。都市の市場では肉をはじめとする動物製品への需要が大きく、家畜生産の規模は急激に増大した。ところが、家畜生産の効率を追求し始めると様々な問題を抱えることとなる。本授業では、山羊、羊、豚、牛、鶏や馬などの家畜化の過程・家畜改良の歴史や世界各地の畜産の特性、さらに大規模経営として発展してきた歴史や「今」を紹介する。その中で日本の畜産の変遷から現在を位置づけ、安全・安心な動物生産と世界の中での日本畜産の「これから」を考える材料と視点を培う。
動物体や人体は、つきつめれば一本のチューブのようなもので、食べ物はチューブの一方から入ってもう一方の端から出ていく。私たちは皮膚を外側の面だと考えているが、チューブの内壁もまた外界に接した外側の面だ。そしてそのチューブには微生物が共生し、その数は100兆個にもおよぶ。実際、腸は肝臓と同じ重量に相当する1.5キロの細菌を抱えている。本講義は、そのチューブ内のマイクロバイオームを意識しつつ、栄養素の消化・吸収・代謝や利用、免疫機構、神経などを概観しながらヒトや動物、さらに土壌の健康とその維持を生態系及び共生という立場から追求する。後半は1.65億年前に出現した哺乳類の生殖を生物進化から言及し、自然分娩や帝王切開などの新生児の成長への影響、さらに新生児へのアレルギー反応、ひいては成長後の腸内細菌叢や微生物環境と生活習慣病などへの影響を新しい切り口と実験データを中心に展開する。
家畜生産は、世界各地の様々な環境、風土そして文化に合わせて行われている。自給自足の時代、農耕民や牧畜民は小さな群れで家畜を飼っていた。そして近年まで、人と家畜は生活圏を共有していた。動物と人間の関係が根底から変わり始めたのは、人口が密集し、急速に拡大する都市においてであった。都市の市場では肉をはじめとする動物製品への需要が大きく、家畜生産の規模は急激に増大した。ところが、家畜生産の効率を追求し始めると様々な問題を抱えることとなる。本授業では、山羊、羊、豚、牛、鶏や馬などの家畜化の過程・家畜改良の歴史や世界各地の畜産の特性、さらに大規模経営として発展してきた歴史や「今」を紹介する。その中で日本の畜産の変遷から現在を位置づけ、安全・安心な動物生産と世界の中での日本畜産の「これから」を考える材料と視点を培う。
21世紀に入ってから、牛では狂牛病(BSE)、口蹄疫などが発生し、豚では豚コレラ、また、鳥インフルエンザというニュースも毎年耳にする。このような中で、安全・安心な畜産物(牛乳・乳製品・肉・肉製品など)を得るためには動物(主として生産性動物)の健康管理が欠かせない。
本授業は、動物の生体防御機構、宿主‐病原体‐環境の相互作用、動物集団の疫学と防疫、動物輸送の衛生と検疫、ヒトの生活環境に与える有形・無形の動物生産の要因の影響などについて、動物の健康と環境の関りを、とくに予防衛生の見地から講義する。さらに、ヒトと動物の共通感染症および動物の生産物(とくに食品)が介在するヒト感染症について公衆衛生学的な見地から授業を進めていく。
以下の項目についての理解と微生物社会でのヒトと動物の関係を意識し、動物科学的な見地から幅広い視野をもって新たな情報の精査・評価するだけではなく、自らの発想で問題解決能力を身に付けることこそが本講義の到達目標である。
1. 内と外の微生物社会でのヒトや動物の共存
2. 真の栄養の吸収と利用(蓄積)
3. 脳と消化管のつながり
4. 消化管と病気、とくに現代病
5. 微生物社会から見るヒトの免疫とアレルギー反応
6. 個体発生、胎児や新生児の発達と健康
7. 微生物の利用、ヒト・動物との共生法
動物テクノロジーは、家畜の生産性や機能性を向上させるために発展し、その一部は人間の生殖医療にも活用されている。本講義では、分子生物学や細胞生化学をベースに、家畜の成り立ち、家畜改良から生産性の向上、家畜機能の利用、幹細胞、iPS細胞や異種移植を含む動物テクノロジーの可能性、限界および倫理を解説し、その応用と限界を考えていこうとするものである。
家畜生産は、世界各地の様々な環境、風土そして文化に合わせて行われている。自給自足の時代、農耕民や牧畜民は小さな群れで家畜を飼っていた。そして近年まで、人と家畜は生活圏を共有していた。動物と人間の関係が根底から変わり始めたのは、人口が密集し、急速に拡大する都市においてであった。都市の市場では肉をはじめとする動物製品への需要が大きく、家畜生産の規模は急激に増大した。ところが、家畜生産の効率を追求し始めると様々な問題を抱えることとなる。本授業では、山羊、羊、豚、牛、鶏や馬などの家畜化の過程・家畜改良の歴史や世界各地の畜産の特性、さらに大規模経営として発展してきた歴史や「今」を紹介する。その中で日本の畜産の変遷から現在を位置づけ、安全・安心な動物生産と世界の中での日本畜産の「これから」を考える材料と視点を培う。